・・・ バタフライ・ケーキ・・・
英国菓子の定番 ”バタフライ・ケーキ”。
はじめてその名を聞いたときには心踊りました。きっと蝶々が空に舞う様な、さぞかし可憐なケーキなのだろうと。
ウキウキしながら待つ私の目の前に現れたバタフライ・ケーキ。
ええ、2度見しましたとも。
『これはただ単に、ごく普通のカップケーキの上をくり抜いた切れ端を適当にのせたものではないのか?』『なぜわざわざ名前変更?なぜわざわざ切れ端をのせるのだろう?てか、普通のカップケーキのままのほうが可愛いくね?』. . . 数々の疑念が頭の中を駆け巡りました。
英国菓子の代表 “ヴィクトリア・サンドイッチケーキ” と出会ったときも、そのゴージャスな名前とは裏腹な素朴すぎる見た目(どっしりとしたスポンジケーキの間にジャムとクリームはさんだだけ)に、白鳥麗華という名前の人と待ち合わせをしたらラクダ色のカーディガンを着た地味な女性がやってきて「趣味は開運グッズ集めです」と言われたぐらいの衝撃を受けましたが、バタフライ・ケーキもなかなかのもの。英国のお菓子界はギャップ萌えを狙っているんでしょうか。
しばらく眺めてみても、色々なことが納得いかないバタフライ・ケーキ。
『もしかしたら、蝶になる前のサナギの状態を表現しているのではないか?』『いや、もしかしたら、英国流の侘び寂び的な美学がこの切れ端に込められているのではないか?』. . . 私なりに深く掘り下げて考察してみましたが答えが見つかりません。
この疑問の答えをなんとかして見つけたいという一心で、自ら作ってみたバタフライ・ケーキ。
バタフライ・ケーキがなぜバタフライ・ケーキとして存在しているのかの問いの答えは未だ見つかりませんが、ただの切れ端を ”蝶” と言い張ってのせるという作業はそこそこ楽しいということと、素朴なお菓子は美味しくてホッとする、ということはわかりました。
くり抜いた穴の中にラズベリージャムを少々入れ、その上に絞ったバタークリーム(お好みで生クリームでも)の上にちょこんとのせた切れ端、いや、蝶。
たくさんの蝶々にかこまれた甘いおやつの時間。バタークリームのカロリーも空に飛んでいってほしいです。
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— バタフライ・ケーキ(小さめのカップケーキ型12個分)—
バター(室温に戻したもの)100g
砂糖 100g
卵 2個
小麦粉 100g
ベーキングパウダー 小さじ2
ラズベリージャム 大さじ3
粉砂糖 少々
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– バタークリームの材料 –
バター 120g
粉砂糖 240g
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オーブンは180度に熱しておく。型にはカップケーキ用紙を入れておく。
バターをボールに入れ、泡立て器でクリーム状になるまで混ぜる。砂糖を加え、さらに白っぽくなるまでよく混ぜる。
溶いた卵を数回に分けてボールに加えて、その都度よく混ぜ合わせる。
別のボールに小麦粉とベーキングパウダーをふるい合わせる。バタークリームのボールに加えて、さっくりと混ぜ合わせる。
型に生地を8分目ぐらいまで入れて、オーブンで15~20分焼く。
網の上で冷ましたら、カップケーキの上部を円錐状にくり抜き、切れ端を半分にカットする。
バタークリームの材料をボールに入れてよく混ぜ合わせ、バタークリームを作る。
カップケーキのくりぬいた部分にラズベリージャムを少々入れ、その上にバタークリームを絞り、切れ端を蝶型になるようにのせる。
上から粉砂糖をふるって出来上がり。